昭和ポップスって、情景が浮かんでくるところが本当に好きです。
ここでは、何度も繰り返し聴いた思い出の一曲を、 完全に趣味として、好きなフレーズや作り手の魅力と一緒に振り返ります。
中森 明菜『難破船』
- 加藤登紀子が、中森明菜の雰囲気に合うと見込んで楽曲提供
- リリース:1987年9月
- 作詞:加藤 登紀子
- 作曲:加藤 登紀子
泣きたいだけ抱いてほしい
「泣きたいだけ」に、これまでどれだけ泣いてきたのか、 そしてこれからもどれだけ泣き続けるのかという深い悲しみを感じます。
そして「抱いてほしい」には、 諦めきれない愛情や執着にも似た強い想いが込められているように思えるのです。
いったいどんな経験をしたら、こんな歌詞が書けるのでしょうか。
あなたを海に沈めたい
怖い。
ただただ怖い。
この歌詞を聴くたびに、 深く冷たい海の底に沈んでいく女性の姿が脳裏に浮かびます。
胸が締め付けられ、 最後まで聴き終える頃には絶望感さえ覚えます。
苦しい……。
孤高の歌姫
中森明菜さんの曲には、どこか共通する危うさがあります。
まるで演技派俳優が役に入り込み、 その人物そのものになってしまったかのような迫力です。
そして、その危うさを最も強く感じるのが、 この『難破船』なのです。
Bonus Track
デビュー曲『スローモーション』や『サザン・ウインド』、 『DESIRE-情熱-』など、明るく力強い曲も数多くあります。
テレビで見る彼女は物静かで口数が少なく、 どこかミステリアスな印象でした。
それでも、ときどき口元に手を添えて照れたように笑う姿に、 少年だった私はドキドキしていました。


